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優秀な人材確保はこれからの会計事務所の生命線を握る [業界動向]

2005年09月29日

「人・モノ・金」といわれるなかで、税理士事務所で一番大切なものは「人」である。これは多くの税理士がそう感じているのではないだろうか。つまり優秀な人材の確保こそが、これからの事務所成長の鍵を握ると言っても過言ではない。では、その人材の確保にふさわしいだけの給与を税理士事務所は職員に与えているのだろうか。

4523億2100万円÷122888人=368万円

優秀な人材確保はこれからの会計事務所の生命線を握る上の数字は、平成16年度サービス業基本調査(速報値)による。会計事務所の総給与支給額を総従業員数で割ったものである。実際に調査した統計表では税理士事務所では406万円という数字が出ている。ここでは他業種との比較もあるので406万円の数字を分析することにする。

つまり、この給与額が優秀な人材を確保できる額なのかということである。勿論、給与の場合、東京と地方ではかなりの差が生じる。その点は11月に出る確定値では都道府県別のデータもでることになっているはずなので、その点を参照されたい。

ここでは他業種と比較する意味もあり、調査結果である406万円を基準値としてみる。確かに、406万円というのは決して低い金額ではない。サービス業の場合、特に飲食や美・理容などでは100万円台の給与も少なくないからである。しかし、基本的に税理士事務所の場合、そうした業種と単純に比較する意味はあまりない。むしろ、他士業の事務所職員や情報産業などと比較する必要があると思われる。

従業員一人あたりの給与支給額一覧表

他士業との比較でいえば、法律事務所とはほとんど同額となっている。しかし、法律事務所の職員は、ほとんど専門的な能力を必要としない場合が多く、多くは一般事務員と同じような業務を行っているという。公認会計士事務所の730万円(個人事務所は448万円、監査法人が1000万円超となっている)は別格としても、特許事務所549万円、また士業でも異質かもしれないが、建築事務所では495万円、測量事務所で436万円、機械設計事務所で536万円となっている。

また、情報産業という点では、不動産賃貸業が479万円、情報通信業493万円(ただし、情報通信の場合、個人事務所だと150万円台と極端に差がある)と税理士事務所を上回る。税理士事務所より少ないのは、司法書士事務所の341万円のみだ。

では、どの位の給与を払えば、優秀な人材があつまるのだろうか。もちろん、一概にいえるわけではないが、今回の調査を基にするならば、やはり450~500万円というところだと思われる。450万円を超える業種は今回の調査業種でも26業種(非営利団体含む)であり、500万円超となると15業種にまで激減する。つまり全体でも1割未満になる。450万円でも上位2割には入っている。そのことからも大体450万円以上というのが一つの基準といえそうだ。

そう考えても、一人当たり売上高が1000万円という数字がこうした面からも必要不可欠となってくる。よく一般的に社員に対して、「自分の給与の3倍を稼げ」とノルマを課すことが多い。商品を製作・販売する場合には、仕入れが発生するため、税・利益を含め3倍という言い方をする。税理士事務所の場合は、粗利率が極めて高い業種であるから、3倍は必要ないにしてもやはり2~2・5倍は必要となろう。そうなれば450万円の給与を払うとなれば、一人当たり1000万円前後の売上はどうしても必要となるのである。

一人当たりの売上高を伸ばすというのは、良好なサービスなしには考えにくい。そして、その売上高がまた優秀な人材を確保する秘訣にもなっていくのである。

月刊シリエズ2005年8月号「税理士事務所の総収入額「1兆427億円」を分解する」より。

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