内容がよくわからない上、読みきれない膨大な資料。自己満足税理士に嫌気 [税理士を替えた理由]
税理士を替える理由で最も多い原因は没コミュニケーション。訪問がなかったり、連絡がなかったり、その存在感の薄さが替える決断を後押しする。しかし、今回登場する税理士は一見すると熱心に見える。毎月訪問するし、資料もきちんとしたものを作ってくれる。おそらく本人も一生懸命お客様のためにがんばっていると思っているはずなのだが…。
こんなにたくさんいるのかなあ?
「えーと、これが試算表、これが当方からの経営分析資料。で、こっちが印刷業界の業況を分析した資料と関連する新聞記事の切り抜き。でもって、これがウチの事務所通信。今回は私も書いていますので是非、読んでください。あ、そうそう今度ウチで経理人材派遣サービスの紹介キャンペーンを始めましたので、もしよろしかったらご紹介ください。こちらが案内パンフレットですので、お目通しを…。もちろん、今まで通り顧問契約いただける社長様を紹介くださいましたら、駅前商店街で使える1万円分の商品券を差し上げます。以前お渡ししたかと思いますが、念のためそのパンフも置いておきますね…」いつもの調子で税理士はまくしたてるのであるが…。
印刷業を営むYさんは以前「毎月いらっしゃらなくてもいいですよ。先生もお忙しいでしょう」と話したことがある。顧問料の値下げを要求したかったわけではなく、本当に忙しそうだったので、他意はなかった。
すると、税理士は慌てて「とんでもない! これは、お客様サービスとは何かを考え抜いて開発したウチの主力商品で、月次訪問とセットなのです」と税理士は膨大な資料を示す。人柄はいいし、話題も豊富。お茶のみ話の相手としては悪くないが、肝心な経営の話はほとんどない。いつも「資料はきちんと読んでおいてくださいね。役に立ちますからね」と言って帰っていくのであった。
そんな折、会社案内制作の仕事を受注した。依頼主は別の税理士。税理士事務所からの仕事は初めてで、原稿取材をしていくうち、ようやく本来の仕事のあり方や役割がわかってきた。
依頼主の税理士は、顧問税理士より事務所の規模は小さいが、正確な仕事ぶりをするだろうことは想像できた。そして、税理士の仕事とは何か、一生懸命伝えようとする熱意にも好感をもったのである。
「いまの先生は資料はくれるんですが……」顧問税理士のことを話してみた。
「そんなにたくさんの資料を作ってくれるなんて熱心な先生ですね。私も見習わないと……」とその税理士は言う。
「いや、実は中身がさっぱりわからなくて」とYさん。「そうであれば、その先生に解説を求めてみてはいかがですか? きっと喜んで説明してくれるはずです」と言う。こうした紳士的で謙虚な対応にも感心した。
「いや、あなたに解説してほしい」
こうして、Yさんは税理士を替えたのである。膨大な資料や様々なパンフ、こうしたモノだけではサービスは完結しない。それをいかに活用するかがポイントなのだ。自己満足のサービスでは、お客様を満足させることはできない。
【関与先データ】
・業種…印刷業
・創業…1997年
・年間売上…1億円
・経理担当者…社長
【税理士データ】
●前税理士
・顧問料…月5万円
・訪問頻度…毎月
・関与年数…5年
・いい人ではある。
・かなり社交的で営業もできる
・自己満足のサービスに気づいていない
●現税理士
・顧問料…5万円
・訪問頻度…適宜(原則毎月)
・関与年数…4年
・伝えたいもの、熱意を感じる
・謙虚で紳士的な対応
・スキルがある








