「顧問を替える? 替えたら大変だよ…」と脅された! [税理士を替えた理由]
税理士を替えたくても替えられない。そう考える経営者は意外に多い。財務諸表はもちろん、社長の趣味や嗜好、家族構成など、かなりの情報を税理士に握られていると考えるからである。税理士を替えたら、あることないことを言われるのではないかという恐れ。それが税理士を替えることをためらわせるのだ。それをいいことに脅しをかける税理士がいた。
怒りは嘆きに変わり、最後は大げんかに
「税理士を“切る”のに10年かかりました」。感慨深げにこう話すのは、経営コンサルティング会社社長のN氏。
N氏は以前、父親から引き継いだ高級志向の洋品店を経営していた。全国各地の主要な駅ビルなどに7店舗出店、一時期は時流にのり、従業員も50人に達していた。ところが、景気低迷と経営の失敗、さらに銀行の貸し渋り、貸し剥がしにあい、資金繰りが急速に悪化。しかも、この間に経理部長の不正も発覚し、ついに会社清算に至るまでに追いこまれたのである。
当時の顧問税理士は国税OBで、とにかく横柄という印象しかなかった。ほとんどコミュニケーションはとれず、信頼関係は、とうに崩壊していた。経理部長の横領についても顧問税理士は、「知らない、わからない」の一点張りで、それ以上の相談する気にはなれなかった。「もはや税理士を替えるしかない」とN氏は考えていた。ところが、それを察知したのか、税理士は、暗に脅しをかけてきたと言う。
「ある社長が税理士を解雇したことをきっかけに、ダーティーな部分が一気に吹き出して大変らしいね」とか、「税理士を替えたことで、経理はもうてんてこ舞いらしいね」など、税理士を替えた経営者に関わる噂話をさりげなく伝えるのである。『税理士を替えたら大変なことになるぞ!』と言いたいらしかった。
仕方なく、税理士は替えることなく知人の紹介で知り合った税理士にセカンドオピニオンとしてアドバイスをしてもらい、倒産の危機を脱する方策を練ることにしたが、結局、会社はたたむことになった。そして、ようやく前税理士との顧問契約が解除された。
その後、再度経営を学び直した中山さんは、新会社を設立。顧問には、セカンドオピニオンとして助言してくれた税理士を起用した。身心ともに疲労困憊していた時、熱心に助言し、激励してくれた記憶がよみがえったのである。
余談だが、N氏は後年、「倒産から学ぶ」というテーマで自身の体験を綴った書籍を出版した際、挨拶程度の意味合いで当時の顧問税理士だった前税理士にも贈った。ところが、その税理士は何を思ったか、電話で「話がある」とN氏を呼び出した。
N氏は「何だろう」と不審に思いながらも、前税理士とひさしぶりの再会。するといきなり説教がはじまったという。「偉そうなことを書いて! 世の中、あなたより苦労している人はたくさんいますよ」と。前税理士に言われる筋合いもなければ、義理もない。その時は大喧嘩になったそうだ。
【関与先データ】
・業種…小売業
・創業…1972年
・資本金…4,000万円
・経理担当者…経理部長
【税理士データ】
●前税理士
・顧問料…5万円
・決算料…25万円
・訪問頻度…毎月
・関与年数…20年
・国税OB
・とにかく横柄
・脅しをかけるなど卑劣
●現税理士
・顧問料…3万円
・決算料…なし
・訪問頻度…不定期
・関与年数…2年
・窮地の時に励ましてくれた
・熱意があって、誠実
・経営者から信頼を得ている








