上原春男の「成長の原理」で企業が生まれ変わる(前編) [商品紹介]
ベストセラー書籍『中小企業経営者のための「成長の原理」』。今回は上原春男氏が「月刊シリエズ」に初登場された際の記事を採録します。お楽しみください。(「月刊シリエズ」1997年9月号より)
外国要人も相談に来訪
「私の講演を聴いて、とんでもない勘違いをして会社をつぶしかかった経営者がいました」 佐賀大学理工学部長の上原春男氏は、今回の取材で苦笑いしながら次のようなエピソードを紹介してくれた。
その経営者は、講演に何回となく出てきた「心地よさ」という言葉が耳に残り、社員を心地よくしてあげようと考えた。 そしてある日、「年間売上目標さえ達成すれば、月次の売上はどうでもいい。 俺も勝手にやるから、おまえたちも勝手にやれ」と社員に言ってしまったのである
この企業は、それから1年後にはあわや倒産をいう窮地に追い込まれ、経営者は佐賀市内の上原氏の自宅まで相談に飛んできた。そこで上原氏の原理を理解した社長は、その2ヵ月後には年商10億円の会社を立ち直らせたという。
なお、上原氏の『成長の原理』のキーワードの1つである 「心地よさ」という言葉は、成長するために脳細胞を活性化する条件を意味する。 それ以来、上原氏は講演を聴いた人に対し、経営上の決定を行なう時には相談するように呼びかけている。
それでなくとも、学部長室はもちろん、佐賀市内にある上原氏の自宅も、氏の考えに共鳴する人の訪問が引きも切らず、文字通り千客万来。 大小取り混ぜた企業経営者、個人資産3,000億円という資産家から外国の要人までと、その顔触れはバラエティに富んでいる。
こんなエピソードもある。ある日曜日の朝、上原氏が自宅でくつろいでいたら「時間が許せば今すぐにでもお会いしたい」と、 初めての人物からの電話が入った。「今どこにいるんですか」と聞いた上原氏に対して、 相手の返事は「実は先生の御宅の玄関先から電話しています」だった。
遠方から訪れたその経営者は、携帯電話で話していたのである。
上原氏の専門分野である理工系の研究では実験というプロセスが欠かせないが、 この点、上原氏の原理を正確に受け入れた企業は、例外なく業績を伸ばしており、 年商を1年で2、3倍にアップした例も珍しくない。このように効果が立証されている点が、 上原氏の成長の原理の強みと言えるだろう。
とはいえ、上原氏の専門が経営学というわけではない。 エネルギー工学、中でも次世代エネルギーと期待される海洋温度差発電の分野における世界的権威者としての研究活動が、氏の“本業”である。 『成長の原理』が生み出された背景には、実はこの専門分野における研究活動を通して氏が感じた矛盾が存在したのである。
成長するための条件を5つの原理に集約
大学で研究生活に入った23歳からおよそ6年間。上原氏は若手としてかなりの業績を上げ、 「毎日でも国際的レベルの論文を書ける自信はあった」と当時を振り返る。
しかし、自信をもって研究を始めても、うまくいかないとくじけそうになり、やればやるほどむなしさを感じた。
エネルギー工学を専攻する上原氏は伝熱工学等の分野におけるパイオニア的存在として知られるが、 どのテーマでも新しい分野をやろうとすると、権威者からは判で押したように「意味がない」という言葉だけ。 また、先輩たちに意見を聞いても、上原氏が満足できる答は返ってこなかったからだ。
そこで、人は自らを成長させるためにどのように行動をしてきたかという研究に着手した。さまざまの人物の伝記を読み、 学者や研究者以外の人物を精力的に訪問した。
数多くの人との出会いの中で、上原氏は成長を遂げた人物に共通する法則を見出し、 「成長・発展するものには、すべて共通する原理がある」ことを発見した。
一般的に原理は1つだけだと思いがちだが、世の中は複雑系であるので、複数の原理がある。 そこで、上原氏は次の5つの原理に集約した。
2.成長限界の原理
3.並列進行の原理
4.条件適応の原理
5.分離・再結合の原理
これらの原理について、当初は漠然とした形で32歳のころから知人に話し始め、38歳前後で理論として手応えを感じた。 こうした時に、日本を代表する財界人から話を聞きたいとの声がかかり、直接話をしたところ、 「これはとんでもない理論ではないか」と、手放してほめられたのである。
「自分がやっていることを『成長の原理』に当てはめ、ありとあらゆるところに使いだすと、 研究活動を実に楽しくなった」と上原氏は言う。
まずは自分自身のためにペーパーにまとめ、40歳で初めて一般の中小企業の経営者向けに講演を行なった。 上原氏が10年間の年月をかけて確立した原理は、聴衆が総立ちになるほどの反響を得たという。
(後編に続く)








