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会計事務所の給与の実情を検証する(前編) [事務所経営]

2005年05月25日

会計事務所にとって人は基本商品。その評価を決める給与の仕組みは大きな課題といえる。業界全体が大きな曲がり角を向かえる中で、これまでの制度にはほころびが見えてきたという指摘もある。事実、制度の見直しを迫られている事務所も少なくない。(「月刊シリエズ」2004年6月号より)

給与の仕組みの基本

会計事務所の給与の実情を検証する成果主義全盛の今日、会計事務所の間でもこうした考え方を給与制度に取り入れる例が増えている。しかし、一方で『虚妄の成果主義』(高橋伸夫著)といった本がベストセラーになるなど、成果主義に対する批判も注目されている。

これは給与や人事評価の難しさを立証する話とも言える。つまり、給与制度にはこれがよいという正解などはないということだ。

はじめから結論めいたことを言えば、会計事務所の給与は個々の事務所の戦略によって大きく変わってくる。まず職員の仕事をどう位置付けるのか。これによって給与の仕組みは大きく変わる。

例えば、職員の仕事はあくまでも税理士の補助業務と位置付けるならば、スキル以外では差がつくことはなく、横並びの給与体系になると思われる。これに対して基本的に職員が自己完結の業務を行なっている例では、売上や利益と連動する仕組みが考えられる。

多くの事務所では後者のスタイルを採用していると思われるので、ここでは主にそうした事務所の給与を見ていくことにしたい。

会計事務所の給与は古くは水揚げ制が主流だったという。これは職員が担当する関与先の報酬がそのまま給与に反映する仕組みで、関与先数や報酬の増減がそのままその職員の給与に跳ね返ってくる。現在でもこうした給与体系を維持している事務所もあるが、これはベテラン職員を抱える歴史の長い事務所でしか採用できない制度だ。

職員が定年を迎えるにはまだかなりの時間がある事務所では、こうした仕組みでは事務所を動かせないだろう。

会計事務所の給与はどのように変わってきたか

会計事務所の給与の実情を検証する給与制度には時代の変遷とともに流行りすたりがあり、ひところは職能給が全盛となった時期もある。会計事務所ではこの仕組みが導入しやすく、現在でも能力やスキルを等級基準とするこの仕組みを取り入れている事務所は少なくない。

ただ、この仕組みが機能するのは職員に定型的な仕事の反復を求めている事務所に限られるといえるのではないだろうか。職員にコンサルティングや営業的な活動を求めている事務所では、こうした面での評価が十分にできないだろう。

こうしたことから職能給に代わってここ数年台頭してきたのが、業績連動型の給与体系だ。こうした例では月の給与より、賞与の占めるウェートが大きい。月給は最低限の生活保障給として、事務所の利益は賞与の段階で還元するという方式だ。

成果主義・業績連動型給与の実情

編集部では今春給与の実情を探るべく、全国の会計事務所に取材を行なった。その結果、こうした業績連動型の給与体系が広がっていることがわかった。

ただし、この方式にも2つのタイプがある。というより、個人の利益貢献の割合をどの程度評価するかという点で2つに分かれる。ひとつは事務所全体の業績のウェートを高く設定するケースであり、もうひとつは個人の業績のウェートを高くする例だ。中には100%個人の業績とする例もあり、こうした事務所では同じランクの職員でも年収で100万円以上の開きが出ることになる。つまり、賞与ゼロの職員と100万円支給される職員がいるというわけだ。

こうした査定の多くは売上が基準になることが多い。また、新規開拓や保険収入などの精算を賞与時に行なう事務所も多く、ここでの売上の差が賞与にはねかえるケースも少なくない。

むろん、こうしたインセンティブの手当を月次で支払う事務所もある。ただ、インセンティブ以外の手当は全般として縮小傾向にあるようだ。

周知のように、給与には基準内給与と基準外給与がある。このうち一般的な基準内給与には基本給のほか、通勤手当や家族手当、住宅手当などがある。一方、会計事務所の基準外手当の多くはインセンティブとしての手当だ。このうち基準内給与の手当については、できるだけ簡素にしようというのが現状の流れのようだ。(後編に続く)

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