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零細会計事務所のゲリラ的マーケティング戦略 [商品紹介]

2005年03月18日

「既存客に一生懸命尽くせば紹介してくれる」ことの幻想

零細会計事務所のゲリラ的マーケティング戦略児玉尚彦氏は1995年、開業した。顧問先はゼロ。「なんとかなるだろう」という根拠の乏しい楽観しかなかったが、資格取得と同時に独立したという。しかし、開業してはじめて、「営業能力がないことを痛感し、厳しさを知った」と振りかえる。「顧問税理士の変更がこんなに大変だとは思わなかった」と、営業で関与先をひっくり返すことが事実上不可能に近く、顧問税理士に限ってはビジネスライクに考えられない経営者が多いことを、この時認識した。

また、企業の創業より廃業が多い時代でもあり、社会状況も顧問先獲得の厳しさに拍車をかけていた。

そこで、会計事務所経営のノウハウ獲得を期待し、会計事務所の某全国組織に入会。各種研修会や事務所見学会に出かけては、大手会計事務所の所長税理士らに顧客獲得手法について助言を求めた……。

しかし、返ってくる答えはいつも決まっていた。「顧問先に一生懸命やれば、紹介してくれる……」

この回答は正しい。しかし、当時の児玉氏にとっては的確なアドバイスではなかったのである。つまり、もともと数件しかない関与先に一生懸命尽くしても、そこからの紹介は微々たるもの。実際、大手会計事務所は何らかの営業努力をしているものだが、そうした核心部のノウハウはなかなか得られず、営業に関する情報は皆無に均しかった。「結局、自分にできるのは記帳代行と申告書作成しかなかった」と改めて悟ったのである。

零細事務所が大手同様の戦略をとっても効果は見込めない

児玉氏は東京・虎ノ門で独立開業した。同地は官公庁とその外郭団体が建ち並ぶ官庁街であり、一般企業、しかも顧客になりうる中小企業は皆無に均しく、新規獲得ができる状況ではなかった。それでも、同地の金融機関はすべて回り、紹介を依頼。そして、そこでまた発見する。「金融機関は紹介する事務所を選んでいる」

つまり、大きい顧客は、大きい事務所に紹介するという現実。駆け出しの税理士に回ってくる顧客は極めて少ないのである。さらに、紹介者や顧客は、「どの先生がいい先生なのかわからない」ことが現実で、会計事務所選びに判断基準がなく、仮に税理士に能力があっても、顧客には伝わらないのである。児玉氏はこの時、顧客獲得は、「カンバンや事務所の規模、先生の名前で決まる」ことを知るのである。結局、「零細事務所が大事務所と同じ戦略をとっても効果がない」。こうして児玉氏はゲリラ的戦術に打って出ることになった。

戦略は「選択と集中」 業務を切り捨てていく

児玉尚彦氏駆け出しの税理士は、溢れる希望と熱意から、顧客のために「何でもやります」と訴えがちだが、実は、「得意分野なし」と告白していることと同義であると児玉氏は指摘する。アピールしているつもりが、裏目に出ているケースもあるという。

そこで、児玉氏はターゲット(規模、業種、地域、専門分野)を絞り、業務を切り捨てていった。つまり、選択と集中である。

年一決算は、生産性も悪く、消費税の損害賠償リスクもあり、すべて断った。個人の仕事(所得税確定申告、相続、資産税)は、「自分には向いていない」と悟りやめた。

「やりたくないことをやめよう」と考えたのである。個人の顧客には「そこまでできれば、税務署に行って下さい。そうすればタダですよ、というと喜んで行きました」と当時を振りかえる。

「業務を切り捨てていったら、本当に何もなくなった。けれど、まず、絶ちきろうと思った」と児玉氏は言う。強みを生かす戦略を追求することに揺らぎはなかったのである。

顧客の真のニーズはどこにあるのか?

児玉氏は以前、記帳の際、「細かくキレイに書きましょう」と経営者に指導していた。しかし、また気づくのである。

「果たしてこれがサービスか」と。中小企業の収益悪化(全法人の約7割が赤字)が深刻な状況にあるなか、こうした指導は「企業経理に余分な負担を与え、逆にコストをかけさせているのではないか。私ならこのサービスに顧問料は払わないだろう」と児玉氏は考えたのである。

「顧客が真に会計事務所に願っているサービスとは何か」と考えた時に、記帳代行と同時に行なっていたコンピュータ指導と経理効率化支援サービスが好評だったことに思い至る。

顧客のニーズを見つけたのである。そして、そこに集中することが戦略となった。

もともと児玉氏は、外資系保険会社の情報システム部門に7年間勤務し、業務の合理化とシステム化の考え方をマスターしていた。こうしたバックボーンが税理士業務と結合し、関与先企業の支援に大きな効果を発揮することになったのである。

そして2002年春に『経理合理化プロジェクト』を発足。「日本の中小企業を経理作業から解放します!」を志として掲げ、次の三つの願いを提唱したのである。

1.どうか、もうこれ以上、管理部門にお金と時間をかけないでください。
2.利益を生まない管理部門を合理化し、その分をお客様のために使ってください。
3.あなたの本当にやりたいことに専念して、成功を勝ち取ってください。

「ベテランの経理社員を敵にし、悪者にしてしまった」と話し、時には経理社員と対決することもあったというが、「中小企業は、社内の管理業務より、お客様(本業)にパワーを使ってほしい」という願いが勝ったのである。

児玉氏がまだ外資系保険会社の会社員だった頃、「英語」、「コンピュータ」、「会計」を強みとする戦略を着想し、会計事務所業界に参入して以来、試行錯誤の連続で到達したのが児玉氏の推進する経理合理化プロジェクト。そして、児玉氏の「選択と集中」戦略に見られる徹底振りと同様に、経理合理化プロジェクトも徹底して推進され、一気に支持者を広げていったのである。

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