税理士が紛争解決機関になる!? [業界動向]
制度改正は国家資格者にとって往々にしてビジネスチャンスになるようです。新たな法律の制定によって生まれる制度がビジネスに直結する場合も少なくありません。
そのひとつの例が商法改正に盛り込まれる予定の会計参与です。今後もさまざまな法律の改正や新設が予定されていますので、国家資格者のビジネスに関連する制度が生まれることになりそうです。
そうした流れの中で、これから注目を集めそうなのがADR法の代理権です。ADR法とは裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律のことで、裁判によらないで紛争を解決する制度として制定が予定さています。
この法律が成立すると、ADR代理人という制度が誕生します。これは紛争解決に当たる代理権を与える制度で、目下この代理人に税理士会や社労士会などが手を挙げています。税理士会や社労士会からすれば、これによって新たな職域を拡大しようというわけです。
日税連では10月に司法制度改革推進本部に対して「税理士に対する裁判外紛争解決手続における代理権付与」についての意見を提出しています。この中で日税連が要望していることは2点あります。ひとつは既存のADR機関(例えば、労働委員会や消費者生活センターなど)及び新設されるADR機関に対して、ADR手続の実施者の相談者として税理士を活用する施策を講じる
ことです。もうひとつは税理士が一定の範囲のADR代理人になることです。税理士にADR代理権を付与する場合の対象となる紛争について、日税連では次の2つの範囲とすべきであるとしています。
1.租税に関する法令の適用に関する紛争(納税義務者と税務官公署との紛争を除く)
2.財産の相続または贈与に関する紛争
つまり、民対民の税金がらみの紛争の解決にあたるというわけです。日税連は意見書の中で、概数513人の税理士が民事調停委員を務めていること(全体の3.8%)などをアピールし、今後はADR関連の研修に力を入れていくなどとしています。
今後このADR代理権がどのような形で認められることになるのか、今のところ先行きは不透明です。ただ、制度の導入によって市場にどのような変化が起こるのか、注視していく必要はありそうです。(月刊シリエズ編集部)
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決算書の活用と経営計画に潜在ニーズあり! [関連情報]
今月11月、中小企業庁は「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート」調査結果を発表しました。このアンケートは同庁が平成14年に公表した「中小企業の会計」の認知度などを調べる目的で実施したもので、すでにその結果についてはいくつかのメディアが報じていますので、ご存知の方も多いと思います。
結果の概要をおさらいしておくと、「中小企業の会計」の認知度は3割強で、6割の企業がまったく知らず、これを知ったきっかけは税理士を通じてが最も多く(44.4%)、計算書類の作成・分析にあたっては過半数の企業(55.9%)が税理士のアドバイスを受けていることなどが挙げられます。これらは同庁が結果の概要として挙げている点ですが、本ニュースではこの概要とは別のほとんど報じられていない点に着眼しました。
本ニュースが注目したのは決算書の利用状況についての回答結果です。調査結果によると、決算書の分析に基づき、売上等を含む事業計画を策定しているのは半数強(52.5%)で、従業員規模別に見ると2~5人で16.6%、6~10人で25.7%、11~20人で37.9%と、規模が大きくなるに従いその割合が上がっています。
また、こうした決算書の分析や事業計画を策定していない事業所では、その理由として「そこまでする必要がない」(40.5%)、「分析等を行える人材が社内にいない」(23.4)としています。これを従業員規模別で見ると、2~5人では「そこまでする必要がない」が53.5%、101~300人(回答企業は従業員300人以下が98.1%)では「分析等に人員を割く余裕がない」が26.8%に上っています。さらに、決算書の作成、分析活用のために必要な取り組みについての回答では、税理士や公認会計士等の外専門家の活用を挙げた事業所は53.8%にとどまっています。
この結果からは中小企業に経営計画がまだ十分に普及していないこと、その理由として社内の人材の問題があること、そして会計人の活用が十分でないことが分かります。つまり、裏を返せば大変なビジネスチャンスがあるのです。決算書の活用方法の指導と経営計画の策定、この2つのビジネスに潜在的なニーズがあることは間違いないのではないでしょうか。(月刊シリエズ編集部)
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社長一人への働きかけでは組織は動かない [事務所経営]
ここ数年、新商品として経営計画の導入を図る事務所が増えています。企業の7割が赤字という状況下で、経営支援に入っていかざるを得ない会計事務所にとって、経営計画は最も扱いやすい商品といえるかもしれません。
しかし、顧客の経営計画を作成する一方で、肝心の事務所ではどうかというと、おざなりになっているケースが少なくありません。中には利益計画すら立てていないという例まであります。これで果たして顧客の指導やサポートができるのでしょうか。
ある税理士法人の代表社員は「事務所は関与先の実験場である」として、所内で経験したサービスのみを提供していますが、残念ながらこうしたスタンスの事務所は少数のようです。自分のところでは使ってもいない商品を他人に売りつける。極端に言えばそん事務所すらあります。
商品やサービスには使ってみなければわからない面があります。特に経営計画のような商品は、作って終わりではなく、Pに続くDCAが重要です。これを行わず、Pだけで終わってしまうのでは商品とは呼べません。
むろん、このPCDAは会社で行うべきことです。その会社の社員一人ひとりが動かしていきます。そこで問題になるがこの社員一人ひとりのモチベートです。計画を実行に移し、その結果をチェックし、行動に変えていく社員にやる気がなければ、計画は文字通り絵に書いた餅になります。
この社員をやる気にさせるというところまでいかなければ、経営計画は機能しません。つまり、会社の内情を把握し、有効な対策を打てなければ、経営計画の導入は意味がないことになります。
仏作って魂入れずとまでは言いませんが、会計事務所が顧客に導入している経営計画には少なからず課題があるのではないでしょうか。経営は社長一人が行う時代ではありません。社員を巻き込まなくては事業の継続はきわめて難しい状況にあります。
したがって、会計事務所の経営支援サービスでも、従来の社長一人への働きかけから、社員全体への働きかけが必要になっています。このあたりの発想の転換と実践がこれからの会計事務所には重要なのではないでしょうか。(月刊シリエズ編集部)
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税理士は社長に最悪の選択をさせてはならない! [事務所経営]
相変わらず中小企業にとっては厳しい環境が続いています。よく言われるように日本の企業のおよそ7割は赤字です。しかし、会計事務所の顧客である中小零細企業に絞ってみると「7割どころか、9割が赤字ではないか」というコンサルタントの指摘もあります。
いずれにしても実情が相当深刻であることは間違いありません。その中にはいわゆる倒産予備軍の会社も多数含まれています。赤字決算が続き、借入金が膨張し、自己資本が減少を続けている。そんな待ったなしの会社が日本全国にあります。
その原因の多くはずさんな計数管理にあります。売上が減少し、利益が出ていないにもかかわらず、給与を下げられないため労働分配率が膨張している。現在の取引先からの受注が減少しているにもかかわらず、積極的に新規を開拓していない。複数部門の売上によって支えられているのに、部門別管理をまったく行っていない。借入金は増える一方で、銀行は個人の資産に貸している状態になっている。これらはいずれも計数管理の甘さに問題があります。
この一事だけでも税理士の責任は重大です。むろん、経営をしているのはその会社の社長ですが、顧問税理士がまともなアドバイスをしていればここまで危機的な状況にはいたっていないはずです。
場合によっては勇気ある撤退を選択することも必要でしょう。少なくとも自らの生命保険での借金返済を考えるという最悪のシナリオよりは、会社をたたむほうがどれほど賢明な選択でしょうか。
顧問先の社長が最悪のシナリオを選択することは、顧問税理士にとっても不名誉極まりないはずです。そうした認識が税理士にあれば、死ななくてよかった人も少なからずいるのではないでしょうか。
税理士の存在はきわめて重要です。特に今のような時代には、そのアドバイスひとつで会社や経営者の生き死にが決まることもあります。まさしく真価が問われるときを迎えているといえるでしょう。
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