「会計参与」で税理士業務が変わる!? [業界動向]
先週13日(日)の日経新聞は「会計参与(仮称)」の制度が2006年度中にも創設されると一面で報じました。これは法相の諮問機関である法制審議会会社法部会が会社法制の現代化に関する要綱の中で打ち出したもので、税理士や公認会計士が取締役と共同で財務諸表を作成する制度です。
部会ではこれまで株式会社と有限会社の一体化、最低資本金の廃止、会社財務の透明性強化といった方針を打ち出しています。このうち財務の透明性強化の具体策として示されているのが会計参与というわけです。
公開企業などの大企業には会計監査人がいますが、中小企業ではこうした仕組みがありません。このため財務諸表の信頼性が担保されないという問題があります。そこで、中小企業の会計の信頼性を高めるために会計参与を創設するというわけです。
これは税理士にとっては画期的なことです。これまでの税務申告のための財務諸表の作成とは異なり、この会計参与では税理士に商法上の位置付けを与え、会計の証明業務が新たな職域となるからです。
もちろん、現状ではこの制度が具体的にどのように運営されるのか不透明な面もあります。従来の顧問業務と会計参与の関係がどのようになるのか、また原案では会計参与の任期と報酬は取締役と同様の規律に従うものとされていますが、中小企業にそのような負担が可能かどうかなど、疑問も残ります。
少なくとも今の段階では、この制度がうまく機能し、定着するとは言い切れません。中小企業の側からすれば、単に負担が増えるだけとも見られますし、新制度の必要性も実感できないかもしれません。
とはいえ、こうした制度が誕生することによって、会計事務所のマーケットが大きく変わることは間違いありません。時代が大きく動いていることを実感させるニュースだとはいえそうです。(月刊シリエズ編集部)
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画期的な毎月のデータの公開による融資制度 [関連情報]
先週、北海道銀行はむらずみグループ(北海道札幌市)と提携して、企業の毎月の財務内容に金利が連動する無担保融資ローンを開始すると発表しました。これはむらずみグループが毎月財務データをインターネットで公開し、その評価を金利に反映させるというものです。毎月の評価を反映させるのは国内初ということで、今後さらに注目を集めそうです。
このローンは、同グループの子会社である日本プロマイトと契約し、同社の「財務会計ネットワーク」に参加する企業が対象となります。現在、「財務会計ネットワーク」には道内の中小企業約500社が参加していますが、このローンの開始により今後さらに参加企業は増えるものと思われます。
中小企業もディスクローズの時代を迎えていますが、このように財務の情報を公開していけば、金融機関との関係も大きく変わります。加えてそこに会計事務所が介在し、分析やアドバイスを行なっていけば、これまでとは違った経営のサポートができます。今回のむらずみグループの試みは、そうした観点からも注目すべきでしょう。
会計事務所の生き残り策の一つは、地域の中で存在感を示すことです。地域経済に貢献し、社会の評価を得る。これに勝る勝ち残り戦略はないかもしれません。(月刊シリエズ編集部)
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中小・零細企業の現状とニーズ [関連情報]
日本経済新聞は先ごろ、全国の上場企業の2004年3月期連結決算が前期比27%増となったと報じました。また経済産業省の産業活動分析によると、今年1月~3月期の全産業指数は▲0.2%とほぼ横ばいで推移していると報告しています。
ここのところの報道では景気が上向いてきたという趣旨の内容が多いように思われますが、これはやはり大企業の話と見るべきでしょう。中小・零細企業では相変わらず厳しい状況が続いています。
総務庁統計局が5月28日に公表した「個人企業経済調査(動向編)平成16年1~3月期結果(確報)」で、これが裏付けられています。それによると、今期(平成16年1~3月期)の業判断DIは‐69.2で、前期(平成15年10~12月期)に比べ1.1ポイント悪化しています。
この業況判断をさらに詳しく見ていくと、売上では製造業及び卸売・小売業が増加していますが、飲食店・宿泊業及びサービス業では減少しています。全体の前期と比較した売上状況IDは‐59.7で、前期に比べ14.8ポイント悪化しています。
また、営業利益も前期と比較した営業利益状況IDが‐62.6と、前期に比べ8.0ポイント悪化したとしています。さらに、資金繰り状況IDも‐41.7で、前期に比べ0.1ポイント悪化しています。こうした数字を見る限り、中小・零細の経営は依然苦しい状況にあると思われます。
こうした状況下で企業の会計事務所に対する要望も大きく変わってきました。ある調査によると、会計事務所が関与先から要求された業務で最も多かったのは資金調達だといいます。また、経営支援業務を挙げる事務所もかなりあったといいます。
中小・零細企業のニーズはこのように資金調達や経営支援へとシフトしています。見方を変えれば、こうした期待に応えられるかどうかが会計事務所の命運を分けることにもなります。
実際、資金調達に強い事務所の中には、これを切り口に他の事務所の顧客を切り崩している例も見られます。従来型の事務所では、業務の再構築が求められるのではないでしょうか。(月刊シリエズ編集部)
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税理士登録者数と税理士法人数の関係 [業界動向]
日税連は、ホームページ上で税理士登録者と税理士法人の届出数を公表しています。それによると今年4月末の時点での税理士登録者数は67,325人、税理士法人数は主たる事務所が693件、従たる法人が248件となっています。登録者数ではいよいよ7万人時代が近づき、税理士法人も700件が間近となってきました。
税理会ごとの分布を見ていくと、登録者数の最も多いのは東京税理士会の17,915人(全体の約27%)、次いで近畿税理士会の12,802人(約19%)、関東信越税理士会の6,933人(約10%)、東京地方税理士会の4,367件(約6.5%)と続きます。千葉県税理士会が独立して以後、順位の変動はなく、特に目立った変化もありません。
これに対して税理士法人数ではこれとは順位が変わります。トップの東京税理士会(213件)、2位の近畿税理士会(94件)、3位の関東信越税理士会(68件)までは変わりませんが、これに続くのは名古屋税理士会(54件)で、その後は北海道税理士会(40件)、そして東京地方税理士会と東海税理士会(ともに38件)となっています。
税理士登録者数では6位の名古屋税理士会が税理士法人数では4位、同じく11位の北海道税理士会が5位になっているわけです。特に北海道税理士会は、税理士登録者数では全体の約2.9%に過ぎませんが、税理士法人数では全体の約5.7%と、倍近くにも数値が跳ね上がっています。
税理士法人の実態は親子や勤務税理士のパートナー化などさまざまですから、一概に法人化が先進的とは言えませんが、北海道の場合には大型事務所が多いことから税理士法人の比率が高いように思えます。また、名古屋は業界の激戦区で、比較的経済活動が活発なこともあって競争力をつけるために法人化が進んでいるようです。
このように地域経済や地域のさまざまな事情が税理士の世界にも影を落としています。これからの競争では地域ごとに戦い方も変わってくるかもしれません。(月刊シリエズ編集部)
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