監査人はなぜ交代したのか? [業界動向]
先週、日本公認会計士協会は「監査人交代の経緯等に関するアンケート調査結果」を公表しました。これは、監査人の任期途中での交代が増加し、中には交代後まもなく会社が倒産するといったケースもあるため、監査人交代の経緯及び前任監査人と後任監査人の業務引継ぎについて調査を行なったものです。
この調査の結果、監査契約の解除となったケースのうち73.3%が会社側からの通知で、監査人側からの通知は26.7%であることが分かりました。このうち、会社側から契約を解除したケースでは「親会社等の意向による監査人の統一」が最も多かった理由で、監査人側からの解除では「監査リスクが高くなった」が最も多かった理由でした。
監査リスクとは「監査人が財務諸表の重要な虚偽の表示を看過して、誤った意見を形成する可能性」を言います。いってみれば「危ない会社」とも見られるわけで、監査人から契約を解除された会社は倒産のリスクがあるといえるようです。このため最近では監査人の変更をチェックする投資家も多く、株価にも影響を及ぼしています。やはり一般には監査法人に見放されたと映るようです。
しかし、調査によると、前任監査人が監査リスクが高いとして契約を解除した会社を後任監査人が監査報酬を下げて契約している例が散見されたといいます。一方で前任監査人が報酬額を理由に契約を解除したケースも少なくない中で、こうしたダンピング的な行為が行なわれている点が危惧されます。
また、監査人の交代の理由の中には「会社と監査人の意見が合わない」「監査意見・指導が会社に受け入れられない」といった回答もあります。調査結果報告では「会社が複数の監査人候補者の中から、自らの意に沿った監査意見を表明する者を選択したのではないかというオピニオンショッピングの疑いがもたれることから、会社による変更理由の説明責任が問われる」としていますが、まさしくそのような疑いが払拭できません。
企業と経済の健全な発展のために、今後、監査業務はますます重要視され、世間の注目を集めることになりそうです。会社と監査人である公認会計士のモラルが問われます。(月刊シリエズ編集部)
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会計事務所の給与と報酬の関係 [事務所経営]
会計事務所の経営の最も特徴的で有利な点は、顧問料制度にあるといえるでしょう。毎月入ってくる顧問料と年に1回の決算料、この2つの収入が売上の80~90%を占めているケースが一般的です。つまり、売上の8~9割が安定収入として見込めるわけです。他の業種の経営者から見ればこんなうらやましいことはないでしょう。
給与の仕組みを考える上でも、この売上構成はきわめて有利です。固定収入のかなりの部分が読めるわけですから、経費をこれでまかなえればプラスアルファの売上が利益になるわけです。したがって、給与は顧問料収入をベースにすればよいことになります。
ある事務所では、各職員が担当する関与先ごとの収入を確定予算として組み、これをもとに給与額を決めています。そして、この確定予算を上回った売上の三分の一を業績賞与として配分しています。この三分の一の考え方を取り入れている事務所は少なくありませんが、これは内部留保が三分の一、納税資金が三分の一で、残りを職員に分配するというものです。
こうした給与体系では、売上が増えれば、その分賞与が増えるわけですから、職員のやる気につながります。また、売上を増やすためには顧問料以外の仕事を受注するか、新しい顧客を増やすしかないわけですから、やるべきことも明確になります。
このような仕組みのもとで職員が成果を上げれば、売上の上昇に結びつきます。そして、それが善循環していけば売上とともに給与も伸びていくことになり、事務所の成長につながります。
ただし、これにはひとつ条件があります。それは事務所の経営情報、すなわち経理の公開が求められるということです。これができないと形は作れても、実際にはうまく機能しません。
このあたりのジレンマを抱えている事務所も少なくありませんが、情報公開は時代の流れです。個人事務所であっても経営情報を公開する時代を迎えているのではないでしょうか。
顧問料と給与は事務所の戦略そのものといってよいかもしれません。したがって、その仕組みは個々の事務所によって大きく変わって当然ともいえますが、それをうまく機能させるためにはやはり情報公開が重要なのではないでしょうか。(月刊シリエズ編集部)
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年金はもはや税金 [関連情報]
消費税の総額表示が始まって1ヵ月あまりが経過しました。消費者の違和感は徐々に取り除かれているようですが、小売店では売上が減少するなど、その影響は少なくありません。
一方、年金問題も話題がつきません。多くの国会議員の未納が発覚する中で、当初政府が説明していた以上に徴収額が増え、給付額が下がることも明らかになりました。
これでは3割を超えるという国民年金の未納者がさらに増えるのではないか。そして年金の財源はさらに悪化。そこで、消費税の大増税。これが巷間ささやかれているシナリオです。
取られる額が増え、もらえる額が下がるのですから、年金は明らかに年貢、税金と見るべきでしょう。政府はまずここのところをはっきりさせた上で、将来のビジョンを示すべきですが、その発言は依然玉虫色です。
これでは国民の理解を得ることなどできないでしょうし、年金に加入しない人がさらに増えても不思議はありません。しかし、問題は個人レベルにとどまりません。最も申告なのは中小企業への影響です。
中小企業の負担が今以上に増えると、従業員の雇用も難しくなります。現在は小康状態となっている倒産・廃業が再び激増するといった自体すら考えられます。
会計事務所としてもこうした状況を放置しておくことはできません。“年金の節税策”を講じるなどして、経営のサポートをしていく必要があります。
年金はもはや税金。とすれば会計事務所も正面から取り組むべき課題ということになります。(月刊シリエズ編集部)
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あなたの売上はいくらですか? [事務所経営]
月刊「シリエズ」編集では現在、「新・会計事務所の給与が分かった!!」と題する新しい書籍を製作中です。これは7年程前に発行した書籍の新版で、全国の会計事務所の給与事例と給与に関するさまざまな資料を収録しています。
この本の取材の過程で、興味深い話をいくつも聞くことができました。ここでそのひとつをご紹介しましょう。
近畿地区のある事務所では、新卒中心の採用を行なっていますが、欠員などの関係で中途採用を実施することがあります。中途採用ですから、当然採用する側としては即戦力を求めることになります。そこで、面接の際に所長はあるひとつのことを必ず聞くことにしています。それは「前の事務所ではいくら売上ていましたか」という質問です。
これに対する応募者の反応は「は?」「エー?」といった要領を得ないものばかりだといいます。つまり、自分が前の事務所でいくら稼いでいたかわからないのです。というより、「そんなことなど、考えたこともない」というのが実体かもしれません。
一昔前なら、これは質問者のほうが変わったことを言うと見られたかもしれません。かつての職員は黙々と月次や決算をこなしていればよく、その仕事の大半は作業でした。したがって、経営感覚はゼロでもよかったのです。
しかし、今は違います。事務所への利益貢献があってはじめて給与がもらえるのです。ただ、作業をしていれば賃金が保証されるという時代ではありません。ところが、多くの会計事務所の職員はいまだに自分がいくら稼いでいるかもわからないのです。
そもそも事務所の売上など、自分には関係ないと考えているふしすらあります。もちろん、先進的な事務所では個々人が経営に参加し、積極的に売上を伸ばそうとしています。先の事務所でも売上高を基準に給与考えているから、こうした質問をしたのです。
この差はきわめて大きいといわざるを得ません。事務所の売上を挙げるという使命があるのとないのでは、天と地ほども行動が変わるはずです。
今回の取材を通じて、会計事務所の間でも業績給の導入が広がっていることが明らかになりました。業績、すなわち売上と給与がリンクしている。というより、そうすることが時代背景としても求められているわけですから、所長も職員も意識改革をしないと勝ち残っていくことが困難になってきているわけです。
当たり前のことですが、経営の基本は売上を上げることにあります。これをスタッフが意識して行動するか否かで、今後さらに成果の差が開いていくのではないでしょうか。(月刊シリエズ編集部)
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