事例紹介

なぜ、現金よりも土地で贈与する方が有利なのでしょうか?

現金は額面で評価され、土地は時価よりも低く評価されるから
たとえば、親から子へ生前贈与する場合は、現金よりも土地で贈与する方が有利ではないかと議論されることがあります。

その根拠は、現金などの金融財産は、ほぼ、額面に相当する時価で評価されますが土地は時価よりも低い路線価で評価されますので、ある想定された金額の範囲内で贈与をする場合は、土地の方がより多くの価値分を贈与できるということになっています。

しかし、親の相続財産を少なくすることが目的である場合には、その根拠には意味がありません。なぜならば、確かに現金は額面で評価され、土地は時価よりも低く評価されますが、それは贈与時に限られることではなく、相続時にも同様に評価されますので、贈与時と相続時で仮に物の価値に変化がないとすれば、どちらを優先的に贈与しても相続財産の減り方は同じになります。

しかし、以前には、土地から優先的に贈与した方が有利であるとして、現金よりも不動産の方を優先して贈与していた時期もありました。それは、土地の価格がすごい勢いで上昇していた頃です。

先ほどは物の価値が変わらないという前提でしたが、もし土地の価値が上昇するという前提であれば、将来の相続財産の増加を抑えるという目的で土地を優先的に贈与するには意味があります。

また、その土地が賃貸されていて収益を生んでいる場合には、土地の贈与とともに、その土地に係る収益も贈与を受けた人に移転するというメリットがあります。

土地で贈与するときには、手続き費用や税金がかかってくる。
そして現金で贈与するか、土地で贈与するかを考えるときには、贈与のための手続き費用や税金の負担も考慮する必要があります。

現金で贈与し、贈与税の申告をご自分でされる場合には費用の負担がありませんが、土地で贈与する場合には、まず土地を評価する必要があります。土地の評価を依頼すると手数料が必要になります。この場合の評価は、時価ではなく相続税評価額の算定になりますので不動産鑑定士ではなく税理士に依頼することになります。

評価対象地のすべてを贈与すると贈与税が多額になりますので、多くの場合は、その土地の一部を贈与することになります。その場合、贈与する一部分の土地を切り離すために土地家屋調査士に分筆を依頼すると、費用がかかりますが、わざわざ切り離す必要はなく、たとえば「持分100分の1」のようにして分数による持分で贈与することになります。

さらに、土地の名義を変更するためには、登録免許税や司法書士の手数料などの登記費用が必要になり、その後、贈与を受けた人には贈与税のほかに、不動産所得税が課されます。
それらを踏まえた上で、現在ではどのように考えるべきでしょうか。

現金と土地では、確かに土地の方が将来的に価格が上昇する可能性は高いと思いますが、現在のような経済の低成長期で、土地の価格も以前のように驚くほどの上昇が見込めないと考えるならば、一般的には現金で贈与をする方が簡単で、費用負担の必要がない分有利と考えます。